Exploring Breakthroughs in Autoimmune Mechanisms to Treat Neuropsychiatric Diseases
Arialys Therapeutics, Inc.(以下「Arialys」)は、Catalys Pacific、Avalon BioVentures、MPM Capitalによって設立された未上場バイオテクノロジー企業です。現在、神経精神疾患に対する新しいプレシジョンメディスンを開発するために、自己免疫メカニズムにおける科学的なブレークスルーを探求しています。Arialysのリード医薬品候補であるART5803は、重篤な精神病を引き起こすことで生命を脅かす神経疾患である抗NMDA受容体(「NMDAR」)脳炎の治療薬として開発中です。ART5803はまた、自己免疫性精神疾患や認知症の治療薬としても期待されています。
- Avalon Ventures
- MPM Capital
- Johnson & Johnson Innovation – JJDC
- Alexandria Venture
Three Questions Answered
元アステラス製薬株式会社 Head of the Neuroscience Research Unit and Virtual Venture Unit Psychiatry
抗NMDA受容体脳炎はNMDA受容体に対する自己抗体によって引き起こされる重篤な自己免疫性神経疾患です。自己抗体の2本の腕によるNMDA受容体のクロスリンクを介して内在化を誘導し、NMDA受容体の機能低下をもたらします。NMDA受容体が機能低下した状態は精神症状や運動機能障害を引き起こすことが知られています。現在まで抗NMDA受容体脳炎の病態メカニズムに基づいた治療法は承認されておらず、適応外の非特異的な免疫抑制療法のみが用いられているため、「治療に時間がかかる」「薬効が不十分」「感染症のリスク」など多くのアンメット・メディカル・ニーズが残されています。ArialysのリードアセットであるART5803 は新規の抗 NMDA受容体片腕抗体であり、NMDA受容体自己抗体と NMDA受容体の結合を阻害することでNMDA受容体の内在化を防ぐことができます。ART5803 は、抗 NMDA受容体脳炎に対する初のメカニズムに基づく治療選択肢となり、抗 NMDA受容体脳炎に対する特異的治療を必要とする患者さんのアンメット・メディカル・ニーズに大きく貢献できると確信しています。
私は神経科学研究ユニット長やVirtual Venture Unit Head Psychiatryを務めてきたアステラス製薬を退社し、Arialysに参画しました。当時アステラス製薬は戦略上の理由から、このアセットの全世界的な権利をライセンスアウトするパートナーを探していました。アステラス製薬はAvalon VenturesおよびMPM CapitalとともにCatalys Pacificと提携し、自己免疫性神経精神疾患のプレシジョンメディスンの開発に特化した新会社を設立することで、さらなる科学的なブレークスルーを模索できることに大きな可能性を感じました。この新会社設立のプロセスにおいては、Catalys Pacificの日米に拠点を持つチームが製薬またはバイオテクノロジー業界にて広範な知識と経験を持つ世界クラスのマネジメントチームやシンジケートパートナーを結集させました。この国境を越えたパートナーシップにより、さらなる科学的なブレークスルーを模索することが可能となり、最終的にはART5803の価値を最大化できると確信しています。
Catalys Pacific、Avalon VenturesおよびMPM Capitalは神経精神疾患における自己免疫性の病因とその治療法を探求するために、Arialysを設立しました。そして、免疫学と神経学の統合分野において世界をリードする専門家を結集することができました。多くの日本の製薬企業は、自社のリソースで革新的な医薬品の開発に奮闘していますが、私たちはCatalys Pacific、Avalon Ventures、MPM CapitalとともにART5803をリードアセットとしてArialysを設立することは生産性と付加価値の高いパートナーシップになると考えました。Catalys PacificのようなベンチャーキャピタルやArialysのような新しいバイオテクノロジー企業とのパートナーシップを通じて、いかに日本の製薬企業が患者さんのために新しいサイエンスやテクノロジーを発展させることができるかを実証する上で、Arialysは良いケーススタディになると考えています。