レナリスファーマ、日本人IgA腎症患者を対象としたsparsentan 第III相臨床試験で良好な解析結果を示す

- 日本人IgA腎症患者(N=35)を対象にsparsentanを投与した時の有効性および安全性を評価する国内第Ⅲ相臨床試験において主要評価項目の36週時点における24時間蓄尿に基づく尿中蛋白/クレアチニン比のベースラインからの変化率は-58.54%であった。安全性プロファイルについては既知のプロファイルと一致しており、日本人特有の新たな問題となる事象はなかった。
- 本試験から得られたデータに基づき、2026年にsparsentanの日本における製造販売承認申請を予定している。
レナリスファーマ株式会社(本社:東京都中央区、以下「レナリスファーマ」)は1化合物でエンドセリン受容体とアンジオテンシンII受容体の双方に対して拮抗作用を有する経口投与製剤であるsparsentan(開発コード:RE-021)について、日本人IgA腎症患者を対象とした第III相臨床試験(以下、本試験)における主要評価項目の解析結果は良好であったことをお知らせいたします。本結果を受け、日本における製造販売承認申請を2026年に実施する予定です。
本試験の主要評価項目である、IgA腎症患者(N=35)に、sparsentanを36週間経口投与した時点の、24時間蓄尿に基づく尿中蛋白/クレアチニン比のベースラインからの変化率の最小二乗幾何平均値(95%信頼区間)は、-58.54(-68.75, -45.00)%であり、本剤の日本人IgA腎症患者における有効性が確認されました。また、安全性プロファイルについては既知のプロファイルと一致しており、日本人特有の新たな安全性リスクは認められませんでした。
レナリスファーマ、代表取締役会長CEO兼 共同創業者のBTスリングスビーは次のように述べています。「日本においてIgA腎症の治療選択肢は限られ、高いアンメット・メディカル・ニーズが存在します。sparsentanは既に欧米で承認されており、ドラッグ・ラグの観点からも本剤を必要とする日本人患者さんに一日でも早く届けることが重要であると考えております。」
レナリスファーマ、最高開発責任者の島崎 竜太郎は次のように述べています。「日本の第III相臨床試験は、PMDAと慎重な議論を重ね、海外の大規模臨床試験成績を利用するための小規模なブリッジング試験として実施することができました。本治験には成人及び10歳以上の小児の患者さんが参加しておりますが、いずれに対しても海外臨床試験と同様に良好な蛋白尿低下効果を認めました。治験に参加頂いた患者様、治験担当医師の皆様、そして本治験の運営にご協力頂いている全ての方々に感謝致します。」
日本腎臓病協会理事長の柏原直樹先生は次のように述べています。「IgA腎症をはじめとする希少腎疾患に対しては、長らく有効な治療法の開発が進んでいませんでした。この領域においても創薬が加速されていることを大変嬉しく思っております。中でもsparsentanは、高い蛋白尿低下効果と安全性を兼ね備えることが海外の大規模試験とこの日本人を対象とした治験結果により確認されました。また、sparsentanはFSGSやアルポート症候群などの希少腎疾患だけでなくCKD全般の治療薬としても期待できることが他にはないこの薬剤の大きな魅力です。この日本人IgA腎症患者を対象としたsparsentanの治験結果に先立ち、日本腎臓学会は学会の大規模な患者データベースを利用して、日本人IgA患者の蛋白尿と腎予後の関係を明らかにしました1)。今後も関係学会と連携し、国際的な取り組みへの参加も視野に、様々な腎疾患治療薬の評価に有用なエンドポイントの検討を進めて参る所存です。」
sparsentanについて
sparsentanはTravereが開発した、経口投与可能なエンドセリン受容体とアンジオテンシンⅡ受容体の双方に対して拮抗作用を有する二重拮抗薬です。当社は2023年にTravereから日本およびアジア地域での独占的開発・商業化に関するライセンスを取得しています。Travereは2024年にsparsentan(米国商品名:FILSPARI®)について、「病勢進行のリスクがある原発性IgA腎症の成人患者における腎機能低下の抑制」を効能・効果としてFDAから完全承認を得ております。FILSPARI®はIgA腎症患者を対象としたイルべサルタンとの直接比較試験(PROTECT試験)において、蛋白尿の有意な減少、腎機能の維持、忍容性の高い安全性プロファイルを示しました。欧州においても2025年にIgA腎症の適応症にてEU標準承認を取得しています。また、2025年にFILSPARI®は、「巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)」を効能・効果としてFDAに追加新薬承認申請(sNDA)が受理されています。
IgA腎症について
慢性腎臓病および末期腎不全患者さんの管理は、日本の医療制度に大きな負担をもたらしており、社会的課題となっています。IgA腎症は、腎不全の主な原因の1つとして広く知られており、本症を原因として末期腎不全(透析)に移行する患者さんが絶えません。IgA腎症は、異常IgAタンパクが腎臓組織に沈着することで、腎臓の機能を阻害し、炎症を引き起こすことにより発症すると考えられています。しかし、未だに発症や重症化の機序については未解明な点が多い希少難病(指定難病66)です。現状、日本においては、IgA腎症に対する明確な治療法が乏しく、高いアンメットニーズが存在しています。
レナリスファーマ株式会社について
レナリスファーマは、日本およびアジアの腎関連疾患におけるアンメットニーズに応える革新的な治療薬の開発に取り組む研究開発型の製薬企業です。ベンチャーキャピタルであるキャタリスパシフィックおよびSR Oneにより設立され、昨今増加の一途を辿る「ドラッグ・ロス」の解消を目指し、日本およびアジア地域の腎疾患の患者さんに新たな治療へのアクセスをもたらす橋渡し役として、より良い医療を届けることを目指しています。
会社名:レナリスファーマ株式会社 [英語名:Renalys Pharma, Inc. ]
所在地:東京都中央区日本橋本町二丁目3番11号
代表者:BTスリングスビー
URL:https://renalys.com/
<注意事項>
本リリースに記載されている医薬品に関する情報は当社の経営情報の開示を目的としており、当該医薬品の宣伝・広告を目的とするものではありません。
レナリスファーマは、2025年11月27日付けで中外製薬株式会社の完全子会社となる予定です。詳しくは以下のニュースリリースをご覧ください。
完全子会社(レナリスファーマ株式会社)の吸収合併に関するお知らせ
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20251118173000_1531.html
<本件に対するお問い合わせ先>
レナリスファーマ広報事務局(株式会社コスモ・ピーアール内)
renalys_pr@cosmopr.co.jp
出典
- Proteinuria reduction as a surrogate endpoint for clinical study of IgA nephropathy in Japanese patients: data from the J-CKD-DB-Ex. Naoki Kashihara. Clin Exp Nephrol. 2025 Nov 18. doi: 10.1007/s10157-025-02788-4.